私がこの雅高校にやってきたのは1年前のこと。


両親とも教師をしていることで、私自身も同じ教師になることは当たり前だと思っていた。


子供といっても高校生はもう十分大人だし、25歳の私にとっては会話をしていても年齢差をそれほど感じることがない。


この高校に赴任してきた私はまず1年生のクラスの副担任として働くことになった。


15歳の少年少女を前にして少し緊張したけれど、両親に教えてもらったとおり真面目に、実直に仕事をこなした。


「谷津先生は真面目でいい先生だから安心です」


保護者の人からそんな風に言われたこともある。


あたしがしてきたこと、今していることは間違いじゃなかったのだと感じられた瞬間だった。


その日、家に戻って両親に保護者からの感謝の言葉を伝えると2人ともともて喜んでくれた。


いつまでもこんな生活が続いていくのだろうと思っていたが、ある日を境になにかが変化し始めた。


それは先輩教師の何気ない一言から始まった。