あたしたちの1日はすぐに終わる。


そこそこに授業を受けて、休憩時間には3人で化粧やファッションや男の子の話で盛り上がって。


放課後には彼氏とデートしたり、他の男の子に呼び出されて告白されたり。


そうしている間に学校の時間は終わってしまうのだ。


「じゃ、また明日ねぇ」


智恵理と栞は同じコンビニでアルバイトをしていて、これから一緒に出勤だ。


コンビニでバイトをしているといろんな男と出会えるのだと、楽しそうに言っていた。


あたしは2人に手を振って、カバンを持った。


「千紗、一緒に帰ろう」


教室から出ようとしたところで声をかけてきたのは久典だった。


「え? 今日、用事があるって言ってなかった?」


キョトンとして聞くと「キャンセルしたから平気」と言われた。


「どうして?」


確か、明日は久典の妹さんの誕生日だから、プレゼントを選ぶと言っていたはずだ。


「郁乃から聞いた話が気になってさ」


言いながら2人で教室を出た。


本当にこのまま一緒に帰ることができそうだ。


「郁乃、なにか言ってたっけ?」


「もう忘れたのか? テスターのこと」


そう言われてもピンとこなくてあたしは瞬きをする。


「美少女を誘拐して、顔を切り取るって言う」


「あぁ、そういえばそんなことも言ってね。もしかして久典、あんなこと信じてるの?」