それは自宅でのんびりと夜のテレビを見ているときのことだった。


テーブルに置いてあったスマホが震えて画面を確認すると、千紗の家からの電話だった。


「なんで家からなんだ?」


俺は首を傾げて呟く。


リビングでは今日が誕生日の妹がはしゃいでいるので、廊下へ出て電話に出た。


「もしもし?」


千紗からの電話だと思っていたから、いつもの調子で声をかける。


すると電話口から聞こえてきたのは千紗の父親の声だったのだ。


『久典君かい?』


その言葉に咄嗟に背筋が伸びた。


千紗の両親とは3回ほど会ったことがあり、そのときに家の番号も教えてもらっていた。


相手の番号を教えてもらっておいて自分の番号を教えないわけにもいかないため、そこで番号交換をしたのだ。


「は、はい」


緊張で声がうわずってしまった。


『突然電話をかけてすまないね。ちょっと聞きたいことがあったんだ』


「聞きたいことですか?」


千紗の両親が俺に聞きたいことってなんだろう?


学校のことなら千紗に聞けばいいだけだし。


全く心当たりがなくてとまどうばかりだ。