───最近、俺はどうかしている。


「あ!王子〜!おっはよ〜♡」


朝、学校へ登校すると数人の女子生徒が俺の元へ駆け寄ってくる。


「おはよう」


笑顔で返すと「きゃー!!」と黄色い悲鳴を上げる。


くっっっそうるせえ。
高い声で叫ぶな、鼓膜破れるだろうが。

…まあ、もう慣れたけど。

俺が学校に来るだけで女子たちは嬉しそうに頬を赤く染めたり、見惚れたりと…

よくもまあ、飽きずに毎日騒ぐものだ。


「ねえねえ日山くん、今日もさあ、皆で勉強会しようよ〜♡日山くん勉強教えるの上手すぎてあたし、日山くんなしじゃムリなんだけど〜!」

「え〜いいな〜!私も王子に勉強教えてもらいた〜い」

「ずるい、あたしも〜!」


上目遣いで媚を売ってくる女子たちにニコッと笑い、

「ごめんね、今日は用事があって……また今度誘ってね」

そう答えると女子たちは

「え〜?」

「顔が良いから許す〜♡」

などと不満げな顔をしながら口を尖らせた。


用事なんてないに決まってんだろ。
とりあえず、昇降口に行きたいから早くそこ退いてくんねえかな…

そんなことを思っていると──…


「美緒〜!おはよ〜!」

「かよたん!おはよ〜!!」


ある人物の名前と声が聞こえてきて思わずビクッと体が反応してしまう。