進藤からの電話のおかげで東とデートの約束を取り付けることができた。
その後もう1本ビールを飲むかと誘ってみたが、今日はもう帰ると言う東。ちょっとは俺を意識したか。なら車で送って行く、と言うと歩いて5分そこそこの距離で車はエコじゃないと言われ、その言い方が面白くて笑ってしまった。東らしい。じゃあ歩いて送って行く、と言うがそれも断られた。例え5分くらいの距離であっても1人で帰す訳がないのに。ならばと、

「送らせてくれないなら今日は東を帰さないけどいい?」

ニヤリと笑って半分本気で半分冗談のセリフを言うと、固まる東。
結果、歩いて送って行くことを渋々了承してくれた。
一緒に並んで歩けば、何もない所で躓く東。咄嗟に腕を掴んだ。本当に危なっかしい奴だ。仕事の時は隙がなくて完璧に見えるのに、普段はこんなに危なっかしいのか。思わず笑みが溢れる。
マンションの前に着くと「…明日、10時に迎えに行くから」そう伝えて、風邪ひかないようにな、その言葉と共におでこにキスを落とした。
一度触れてしまったら、俺はもう東に触れずにはいられないらしい。

ーところが翌日、東から急遽創太くんを預かることになったからデートをキャンセルまたは延期して欲しいとメールが来た。