ケータイ小説 野いちご

星屑の涙に君を想う

1.涙変質症候群


 シクシクシク

 誰かが泣いている。

 隣で、誰かが静かに涙をこぼしている。

 その目からこぼれ出る涙は――小さな星くず。

    ***

 私は八年前から「涙変質症候群」を患っている。

「涙変質症候群」とは、簡単にいうと、「涙」が別のものとなる未知の病気。

 みんなの涙って、水の玉のようなものでしょ?

 でも、私の場合は、目から水が出てくることはないの。

 私が泣いたときに出るものは……〝星くず〟。

 それは色とりどりで、小さくてゴツゴツした形をしている。ラメが入っているようなキラキラした星くずもある。

 だけどその星くずたちは、すぐに消えてしまうんだ。

 まるで、病気の証拠を隠すみたいに。


 私が初めて、この病気に気づいたのは、小学三年生のある日。

 道ばたで転んで、泣いてしまったときに、お母さんが叫んだの。

『星奈ちゃん、目から変なものが出てるわよ……!』

 お母さんはすぐに、私を大きな病院に連れていってくれた。

 そして、初めて涙変質症候群のことを知ったの。

 突然、涙腺に異常が起きて、目から出る涙がちがうものになる。治療法はなく、一度かかったら治る可能性はかなり低い病気。

 それでも普通に生活はできるから、特に困ることはなかった。

 ただ、人前で泣けなくなったことを除いて。

 だって、みんな信じてくれるわけないでしょ? 涙が星くずだなんて。気味悪がるに決まっている。

 だから私は、涙変質症候群のことは、学校の人には誰にも秘密にしているんだ。

 もちろん、彼氏であった海くんにも、言っていなかった。

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