放課後、僕は紫恩に連れられて実家に来ていた。
「……静弥、ごめんなさい」
父さんと母さんは、僕の姿を見ると頭を下げる。僕は「良いよ。謝らなくて……」と微笑んだ。
「父さんも母さんも、僕のことを心配してくれたんだよね?ありがとう。もう僕は大丈夫だから……」
父さんと母さんは、顔を上げると僕と目を合わせる。
「ねぇ……僕、紫恩と一緒に暮らしてもいい?父さんと母さんと一緒に暮らしたくないわけじゃないんだけど、紫恩と一緒に暮らしてた方が楽しくて……」
僕がそう言うと、父さんと母さんは顔を見合わせると微笑んだ。
「高校卒業してからなら良いよ」
「分かった」
母さんの言葉に、僕は頷いた。
高校を卒業して数か月。働き始めた僕は、今日から紫恩と一緒に暮らすことになった。
「ここが僕らの家か……」
紫恩と一緒に暮らすことになった一軒家を見上げて、僕は呟く。
ちなみに、図書館に近い場所を選んだよ。多分、実家から歩いて行くよりも近いんじゃないかな?
「……そうだね。早く入って、荷物を片付けないと……思い浮かんだ詩を書き留めたいんだ」
「そうだね。僕も小説を書きたいし……」
僕と紫恩は、同じ職場で働きながら趣味で小説を書いたり詩を書いたりしてるんだ。