静かな図書館に、ページをめくる音が響く。僕が今読んでるのは、切ない友情もの。タイトルは分からないけど、面白そうだったから読むことにしたんだ。

何回も読み返せるくらい、面白かったな……。

そう思いながら、本を読み終えた僕は本から顔を上げた。気が付けば、図書館の中は真っ暗だった。

「もしかして、閉館前……!?急いで帰らないと!」

椅子から立ち上がると、僕が読んでいたこの本があった場所へと走る。閉館前だからか、電気が付いてなくて何だか怖い。

「……待って……」

僕は、違和感を感じて立ち止まった。閉館前って、電気消えてたっけ?それに、妙に静かだ。

「……何か聞こえてくる」

耳を澄ませてみれば、どこからか声が聞こえてくる。僕は、本を片手に声がする方へと向かった。

……この声、人間じゃ出せないよね……。

そう感じるくらい低くて、ドスの効いた声だ……嫌な予感がする。

『見つけた……』

後ろから声がして、僕は後ろを向いた。そこには人の形に近い姿をした怪物がいて、怪物は僕を見つめている。

「……っ!」

怪物は、僕に向かって飛びかかってきた。その時だった。本が光って勝手に開くと、中から小さな光が飛び出してくる。

「……僕が力を貸すよ」

光から声がしたと思ったら、光は僕の手の中で大きな水色のリボンに青い雫の形の飾りの付いた髪飾りになった。