あの後、私と春斗はもう少し会話してからさよならをした。


今度は何か私が作ると言ったのに、俺のが絶対美味いからいらねえって言われて少しだけ凹んだけど。
……どうせ、女子力低いですから。



学校に到着して、職員室に向かう途中久住君を遠くに見付けた。
途端に、キスされた事を思い出して胸辺りがざわつく。


……こんな調子でちゃんと話せるのだろうか。


受け入れるなんて、昨日は偉そうに考えていたけど、女子力低め、更には恋愛経験だって少ない私に出来るのか。


真摯に向き合うって、大変だ。


傷付けたくないなんて、私のエゴなんだよね。
断れば、どんな言い方だって傷付くんだ。


でも、その傷を最小限に抑える事ぐらいは出来る筈だよね。



ううむ、と悩んでいると後ろから


「真央梨先生ーーーーー」


ってどでかい声がしてすぐにどすっと誰かが私の背中に体当たりして来る。


「うわっ、と……あれ? 真中さん?」


ぎゅうっと私の腰辺りにしがみつくのは、真中さんだ。
顔をバッと上げて私を見ると、途端に顔をぐしゃあっと歪める。