「じゃあ、私のスピーチも考えてた?」


たっくんが注いだビールをグイっと飲み干した先生を見つめながら、聞いてみた。


「ん?お前の結婚する相手は自分だって思ってたから・・・ 自分の結婚式で話す内容を考えてたよ」



先生は、デザート取りに行くぞって立ち上がって、私はその場で溢れる涙をゆかりに拭き取ってもらった。




龍の職場の上司や同僚の挨拶、依子のバイト先の友達の歌などを聞きながら、私は自分の結婚式を想像した。



やりたいことはいっぱいあるけれど、とにかくみんなへ「ありがとう」を伝えたいんだ。



今、私と先生が幸せでいられるのは、本当にみんなのおかげだから。



「最後に、依子さんの親友であります中田ゆかりさんと、矢沢直さんからのスピーチです!」




緊張で手が震える。



「大丈夫だって!」


私の震える手を、先生がそっと握ってくれた。


「頑張れよぉ」


立ち上がった私の腰をポンっと叩いた先生。



私とゆかりは前に出た。


ありきたりのお祝いの言葉を軽く述べた。


メインは、この後…





「今日は、依子にサプライズプレゼントがあります。目を閉じてください」




龍は依子の両目をしっかりと手で隠した。





私は控え室にいるお父さんを呼びに行った。





依子が好きな洋楽がバックで流れていて、私はそれだけで涙が出そうだった。