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俺を疑って周りに高校の同級生が隠れていないか確認する薫を見る度に信用されていないんだって思い知らされて悲しかった。そうさせてしまった過去の自分をぶん殴ってやりたい。

罰ゲームなんて断ればよかった。薫に嘘をつかなければよかった。もっと早く本音を言えばよかった。もっともっと触れたかった。

後悔し続けた時間を埋めたくて薫にことあるごとに会いたいと伝えた。
食事に誘って会社の近くまで行ったし、週末は仕事の予定がない限りデートに誘う。

今更やり直したいって言った俺に戸惑っているのを感じるから必死で繋ぎとめておきたかった。





待ち合わせの駅に来た薫がさり気なく周りを確認したのを見たから名を呼んで視線を俺に向けさせる。
信頼を得るには時間がかかることは理解している。だから薫には外野を気にしないで俺だけを見ていてほしい。

今日のデートの行き先を教えていないから薫は施設の案内図を興味深そうに見ている。
遊園地やショッピングモールが一体となった大型施設のある駅で待ち合わせしたのは、薫としてみたかったデートプランを実行するためと、過去の楽しかったことも思い出してほしいからだ。

アトラクションエリアでは窓口で入場券を買わずに事前に用意していたチケットでスムーズに入場し、フリーパスで乗り放題なことに薫は目を真ん丸に見開いて喜んだ。

「前から買っておいてくれたの?」

「この施設にうちの会社のフィットネスジムがあるから、その関係でチケットが手に入るんだ。薫は絶叫系大丈夫?」