◇◇◇◇◇
蒼くんは優しい。私を傷つけるようなことは言わない。だからきっと別れようって言えないんだと思っていた。
私はお揃いで買ったキーホルダーをカバンに付けているけれど、蒼くんはそうじゃない。
告白してくれたのは蒼くんだけど実際に付き合ってみたら想像と違っていたのだろう。
キスも手を繋いだこともない。彼氏彼女っぽいことなんて何もないまま、付き合って1年たってしまった。
クリスマスもお互いの誕生日もスルーだ。友達の多い蒼くんは祝ってくれる人がたくさんいるのだから仕方がない。でも私は不安と不信感が増していく。
付き合った記念日を私は覚えていたけれど蒼くんは何も言わない。だから私も何も言えなかった。
平日だし、お互い受験だし、忙しいしね。と自分を誤魔化した。
だから突然蒼くんから連絡が来たときは舞い上がった。
『マンガの今週号読みたい。出てこれる?』
理由がマンガだとしても嬉しい。
トートバッグにマンガ雑誌の今週号を入れると浮かれて待ち合わせの駅に行った。
「今度学校あるときに返してくれればいいから」
「今読むよ。すぐだし」
「じゃあどっか落ち着けるところに行く? 私の家に来る?」
「え、薫の家?」
「嫌かな? 今日親仕事でいないし」
そう言うと蒼くんは困ったような顔をする。
「ごめん……私の家は嫌だよね……」
分かってる。蒼くんはマンガを読みたいだけだから、私とは本気の彼氏彼女だと思ってないってことくらい。
もしかして今日は別れ話でもされるのだろうか。
「そうじゃなくて……俺緊張しちゃうから」
「あ……うん。そっか」
二人きりなんて嫌だよね。誰もいない家なんて尚更。
「俺んちも今日家族いるし……寒いからどっか店入ろう」
蒼くんは優しい。私を傷つけるようなことは言わない。だからきっと別れようって言えないんだと思っていた。
私はお揃いで買ったキーホルダーをカバンに付けているけれど、蒼くんはそうじゃない。
告白してくれたのは蒼くんだけど実際に付き合ってみたら想像と違っていたのだろう。
キスも手を繋いだこともない。彼氏彼女っぽいことなんて何もないまま、付き合って1年たってしまった。
クリスマスもお互いの誕生日もスルーだ。友達の多い蒼くんは祝ってくれる人がたくさんいるのだから仕方がない。でも私は不安と不信感が増していく。
付き合った記念日を私は覚えていたけれど蒼くんは何も言わない。だから私も何も言えなかった。
平日だし、お互い受験だし、忙しいしね。と自分を誤魔化した。
だから突然蒼くんから連絡が来たときは舞い上がった。
『マンガの今週号読みたい。出てこれる?』
理由がマンガだとしても嬉しい。
トートバッグにマンガ雑誌の今週号を入れると浮かれて待ち合わせの駅に行った。
「今度学校あるときに返してくれればいいから」
「今読むよ。すぐだし」
「じゃあどっか落ち着けるところに行く? 私の家に来る?」
「え、薫の家?」
「嫌かな? 今日親仕事でいないし」
そう言うと蒼くんは困ったような顔をする。
「ごめん……私の家は嫌だよね……」
分かってる。蒼くんはマンガを読みたいだけだから、私とは本気の彼氏彼女だと思ってないってことくらい。
もしかして今日は別れ話でもされるのだろうか。
「そうじゃなくて……俺緊張しちゃうから」
「あ……うん。そっか」
二人きりなんて嫌だよね。誰もいない家なんて尚更。
「俺んちも今日家族いるし……寒いからどっか店入ろう」