「かーず、ねーぇ?」


「かっちゃん!かずなり!かずちゃーん!」


さっきから、カリカリと日誌を書いてる俺の腕に巻き付き、俺の名前を色々と変えて連呼する、仔猫こと、彼女の金井麻子(かないまこ)。


俺は黒縁メガネをカチャリ、と掛け直して彼女へと視線を向けた。



「なに?麻子?」

「むぅ…一成、さっきから私のこと見てない!」

「仕方ないだろ?日誌書いてるし」


サラサラの髪を撫でてやると、片目を瞑って俺の手にスリスリと頬を寄せる。


「でもー…」

「日誌書き終わって提出したら、一緒に帰ろう?それならいいだろ?」

「んもー!早く終わらせてよね!」


と、ツンツンしながらも腕から離れない麻子に、分からないようににやりと笑って、日誌の続きを書いた。