翌日の2月6日は土曜日で学校は休みの日だった。


それでも江藤君の様子が気になって、昼を過ぎるのを待ってから電話をしてみていた。


数コール目の呼び出し音で、最近聞きなれてきた江藤君の声が聞こえてきた。


こうして電話で会話することは始めてだから、なんだか緊張してしまう。


「あ、あの。大丈夫かなって思って……」


しどろもどろになりながら言うと、電話の向こうで江藤君が軽く息を吐き出すのがわかった。


後方からは人が行き来するあわただしい音が聞こえてくる。


『まぁ、なんだとか大丈夫だよ』


そう返事をする江藤君の声は低く沈んでいて、とても大丈夫そうには感じられなかった。


胸の奥がギュッと締め付けられるような痛みを感じる。


ひょんなことから江藤君と仲良くなることになったあたしだけれど、今では江藤君のことをすごく気にしていた。


「真央ちゃんの葬儀っていつになるの? よかったら、あたしも顔を出したいんだけど」


勇気を出してそう聞くと、明日だと教えてくれた。


あたしは里香と2人で行くと伝えて電話を切った。


最後まで、江藤君の声は沈んだままだった。