しばらく帰っていなかった実家からの連絡。


「雪乃、大事な話があるの…急いで帰ってきて…」

「えっ!?大事な話って、何かあったの!?」

「電話じゃちょっと‥……」


そんな事言われたら帰らないわけにはいかず。

慌てて仕事は半休を取り、連絡があった翌日には
実家へ帰った。


「ただいまっ!!お母さん、」

声を聞いてすぐに出てきた母に緊迫感はない。

「お帰りなさい。早かったわね」

「だって深刻そうだったから急いで‥……」

そして靴を脱ごうと足元を見た時、明らかにこの家に住んでいる父、母、妹の物ではなさそうな
ピカピカの革靴が玄関に並んで置いてある。

「ん?……誰かお客さん来てるの?」

すると廊下の奥の居間から、ひょこっと顔を出し
こちらを見ている男が見えた。

「‥ぇ…………、賢心!?」

私が名前を口にすると、男はニヤリと顔を緩め
一気にこちらに向かって突進して来た。

「雪乃~~~♪♪♪」

「えっ!ぇ、えぇ~!!!」

まだ靴も片方しか脱いでいない私を勢いよく抱きしめたのは0歳からの幼馴染み、沢村賢心。

「会いたかったよ~~!!!雪乃~~!!」

「ちょっ、ど、どぅしてここにぃるの!?」

すると賢心は私の顔を真っ直ぐ見ながら
またニヤリと含み笑いをした。