「へー、綺麗で広いじゃんっ!」



ウキウキ部屋を見渡している稟琉と一岡。



「そ、そうかな…?」



ダメだとは思うのに、私の視線はつい采斗の部屋の方に行ってしまう。


大人しく隠れてくれているつもりなのか、部屋からは物音ひとつせずシンとしていた。



「柏木、おまえ演劇部にでも入るつもりなの?」



え?と、采斗の部屋から一岡に視線をうつすと



「なんかこの台本、すっげー書き込みしてあるけど」



一岡が采斗が最近部屋でよく読んでいる連ドラの台本をペラペラ捲っているところだった。



「“恋する姫たち”?なんかイマイチなタイトルだな~」



たしか次の月9だよー!!!




「かかか返してっ!!!」




ひったくるように一岡の手からそれを奪った。


驚いたように瞬きしている一岡。




「え、と…こ、これは…おば、おばさんの!おばさんがママさん演劇クラブに入ってて!」


「ふーん、書き込みの量すげーし、ずいぶん熱心にやってんだな」




そりゃプロですからね…