自己紹介をした後、立ち話もなんだし、と夏樹さんに言われて、僕らは並んで運動公園にある椅子に座る。

「……僕は、君たちと違って普通の人間にも姿が見えるんだ。生きた人間だから。でも、同時に死神でもあるから……天国にも入れるよ」

そう言いながら、辺りを目だけで見渡してた夏樹さんのオレンジ色の瞳が僕を捉えた。

「瑠依くんの目、透き通ってて綺麗だね……数年前に亡くなった僕の弟を思い出す……彼は、片方の目だけ目の色が違ったけど、綺麗な目をしてた……」

そう言って、夏樹さんは空を見上げる。

「……夏樹さん……僕が10歳の時に、見たことあるような気がする……淡い桃色と片目に黄色のグラデーションがかかった男の子と、一緒にいませんでした?」

僕がそう言うと、夏樹さんは「そうだよ。良く覚えているね」と微笑んだ。

「夏樹さんも僕のことを覚えてたんですね」

「覚えているよ。瑠依くんは、僕の弟に……晴輝(はるき)に、笑顔を与えてくれた人だから」

晴輝……?どこかで聞いた名前だ。確か、ソルが僕のジャグリングを見て泣き出した時に……。

「……」

「晴輝、もともとはあまり笑わない子だったんだ」

そう言って、夏樹さんは空を見上げる。