僕と佳奈さんは、近くの公園にある長椅子に座っていた。

「……私には、年の離れたお姉ちゃんがいるんだ。でも、お姉ちゃんは……病気で、あと数日で死んでしまうんだ……お姉ちゃんが死ぬ前に、私……言いたいんだ……ありがとうって。ごめんねって」

そう言って、佳奈さんは泣き始める。僕は「……一緒に伝えに行こうよ」と佳奈を見つめた。

でも、佳奈さんは泣き止まない。僕は、立ち上がると呪術を使って3つのボールを作り出す。

最近知ったんだけど、僕は……武器以外にも、ボールだけなら作ることが出来るみたいなんだ。

「……佳奈さんに、泣き止む魔法をかけます!よく見ててね?」

佳奈さんに微笑むと、佳奈さんは顔を上げて僕を見つめた。それを確認して、僕はボールを空へと投げてジャグリングを始める。

今僕がしているのは、ジャグリングの基本の技であるカスケード。

ちらりと佳奈さんの方を見ると、佳奈さんはすっかり泣き止んでて僕のジャグリングを見つめてた。

これくらいで良いかな……。

そう思って、僕はジャグリングを止める。片手に3つのボールを乗せると、佳奈は「……凄い」と少し驚いた顔をした。

「僕、ジャグリングと玉乗りが大の得意なんだ」

カスケードとは別の技をしながら、僕は佳奈にそう言う。