「……」

僕は、温かい空気を感じて目を開ける。目の前には、綺麗な水の溜まった小さな泉があった。

「……ここは?」

辺りを見渡してから、僕は泉に移る自分の姿を見つめる。青髪に水色の目の、死ぬ前から変わらない僕の姿。

服装は違うけど、そんなことはどうでもいい。

「そもそも、僕は自殺をしたはず。だとしたら、ここは天国……なのか?」

僕は、生きることに疲れて自殺したはずなんだ……なのに……何で僕は今ここにいるんだろう?

「……君の言う通り、ここは天国です」

後ろから誰かに声をかけられて、僕は後ろを見た。そこにいたのは、長い黒髪を1本にまとめた赤目の男の子。

今、僕が着てるのと似た服を着てる。

「俺は、ソル。死神です……それと、俺に敬語は使わなくて良いですよ。年の差、関係なく」

ソルと名乗った男の子は、そう言って微笑んだ。

「……分かった。じゃあ、僕にも敬語を使わないで良いよ……それで、死神って?」

「……うん。地上を彷徨ってる霊を天国に導く仕事をしてるんだ」

「……そっか」

僕は特に言うことが無かったから、ソルさんにそう返す。ソルさんは、そんな僕を見て驚いた顔を見せた。

……何で驚いてるんだろう?

「驚かないの?」

「だって、小さい頃から死神がいるって信じてたから!」

そう言って、僕は笑う。こうやって、明るく振る舞うのが僕の癖なんだ。