どうにか授業が終わる前に食料を持って3階の空き教室まで戻ってくることに成功した。


自分の商品番号を伝えて鍵を開けてもらったとき、また安堵感から大きな息を吐き出した。


教室に入れてもらって机の上に食べ物を並べて行くと、大志は目を丸くしていた。


「こんなに沢山?」


「たぶん、数日分入れてくれたんだ」


一が答える。


紙袋の中には30個近いおにぎりが入っていた。


もちろん全部手作りで、口に入れると優しい味がした。


食べられないかもしれないと思っていたけれど、さっきの女性の優しさを思い出すと大きなおにぎりをひとつペロリと食べてしまって自分でも驚いた。


教室の隅に座っている花子も1人で黙々とおにぎりを口に運んでいる。


そうして食べ終わった頃、廊下が騒がしくなり始めていた。


他の生徒たちも昼を終えて思い思いの時間を過ごしているのだ。


それはあたしたちにとって危険な時間でもあった。


興味本位でこの教室に入ってこようとする生徒だっているかもしれない。


あたしたちは花子の近くに移動して、6人で身を寄せ合い、静かな時間を過ごした。


前の休憩時間と同じように、このままやり過ごすことができればいいが……。


そう思ったときだった。


ずっと同じ体勢でいた花子が足を伸ばすために体を動かした。