今日もいい天気だった。


屋上に出ていると汗ばんでくるほどの陽気だ。


あたしは聡介が取ってきてくれたペットボトルのお茶で喉の渇きを潤して、登校してくる生徒たちを見下ろした。


みんな、どんな思いでここに来てるんだろう。


次々と殺されていく商品たちを見てどう感じているんだろう。


登校してくる生徒たちの中にエリカの姿を見つけて小さく「あ」と呟いた。


それに気づいた聡介が同じように生徒たちへ視線を向ける。


「なんか、こうして見るとなにも変わってないよな。俺たちだけ変なことに巻き込まれた感じがする」


エリカはクラスメートに声をかけられて並んで歩き出した。


その様子になんだか目の奥が熱くなってしまう。


ああしてエリカの隣を歩いていたのはあたしだったのに。


親友だったのに。


あたしが商品になってからエリカから連絡は来ていなかった。


教室内で目をそらされたときのことが思い出される。


誰だって同じことをすると思う。


だって、自分が商品と仲良くしていたら、巻き添えを食らってしまうかもしれないんだから。


だからエリカは悪くない……。


複雑な心境で登校してくるエリカを見ていると、不意にエリカが顔を上げた。


一瞬、視線がぶつかる。


「隠れろ!」


聡介に手を引かれて、あたしは慌てて身をかがめた。