今日はもう何事もなく1日が過ぎていく予定だった。


だって、陸がいないんだから。


力を使える相手がいない状況で美紀が動くとは思っていなかった。


「あんたたち、ちょっと来てくれる?」


だから、放課後になって美紀に声をかけられたとき正直驚いてしまった。


咄嗟に夢へ視線を向けると、夢は愛子と靖に挟まれてしまっていた。


これは行くしかなさそうだ。


他のクラスメートたちはいつものように見てみぬふりを決め込んでいて役に立たない。


先生はとっくに教室を出て行ってしまっていた。


美紀たちに連れられて来たのは校舎裏だった。


ジメジメと湿っぽく、花壇は手入れされずに枯れた花がそのまま放置されている。


その花を見ているとまるで自分と夢を見ているような気になって、胸がチクリと痛んだ。


そしてすぐに考えなおす。


確かにあたしたちは数日前まで枯れた花同然だったかもしれない。


でも今は違う。