梅雨が明けて数日経過した、7月1日。


日差しの柔らかさは鳴りをひそめ、本格的に夏が訪れる気配があった。


空はとても青く、白い雲が心地よさそうに泳いでいるように見える。


そうだ、今年の夏は仲間と海でも行こうかな。


新しい水着を買って、透通る海で泳げたら最高じゃん!


……和樹も誘ってみようかな。


一緒に行ってくれるかなぁ海……。


明後日から始まる期末テストのことなんてほとんど頭になかった。


あるのはその次にやってくる夏休みのことばかり。


楽しい休みを想像して思わずニヤけてきたとき、自宅が見てきた。


灰色の壁に黒っぽい屋根が乗っかっている一軒家があたしの家。


「ただいま」


声をかけながら玄関を開けた時、たたきにハガキが一枚落ちていることに気がついた。


ドアにそなえつけのポストならなにか投げ込まれたみたいだ。


あたしは靴を脱ぐ前にそれを拾って確認した。


宛名は水野結子(ミズノ ユイコ)。


「あたし宛ての手紙?」


あたしは首をかしげて呟き、靴を脱いで玄関を上がった。