生徒会長に、雑用係の女子がくっついている。

そんなウワサは瞬く間に広がって、わたしは一人で歩いていてもちょっとだけ注目されるようになった。

もう本当に、生徒会に入っちゃうしかないのかな。
このまま生徒会長のお墨付きの人間、みたいなイメージが定着すれば……スムーズに生徒会に入れたりして?


生徒会に入るってことも自分には向いていないと思っていたけど、何より嫌だったのが「選挙」の存在だ。
立候補して、全校生の前で演説なんかして、落ちたらすごく恥ずかしいと思っちゃう。

でももし、その投票がなかったら。
それならだいぶ、気が楽だけど……。


……放課後、わたしがそんなことを考えながら廊下を歩いていると、前から知っている顔が歩いてくるのが見えた。

さらさらの長い黒髪に、細い手足。
まるでモデルのように真っ直ぐきれいに歩く彼女は、生徒会の一員。

岸会長に次ぐ、副会長の立場にある人間は、川西先輩だけではない。

男女各一名、という決まりで選出されるらしく、彼女……三年生の長沢さおり先輩も、この学校の副会長だ。

とてもきれいな人だし、うらやましいスタイルだし、男女共から憧れの存在の長沢先輩だけど、わたしは彼女が苦手だ。
なぜなら……。