《先生の気持ち》


最近やっと夜眠れるようになった。



こう見えて、俺って結構ナイーブなんだ。


あいつが・・・


直から別れを切り出されたあの夜から


夜中に何度も目が覚める。



なんでだろうな。


俺はやっぱり直じゃないとだめなんだ。


あいつがどんな気持ちで身を引いたのかと考えると、ますます愛しくなる。


俺は、何年も前に娘と暮らすことは諦めてたし、母親である元カノにも全く愛がない。


だけど、やっぱり心のどっかでかわいい娘を求めてたのかもしれない。


それが、あいつが言う「寂しい目」ってやつなのかな。


自分ではわからないけど。


直は、俺自身より俺をわかってるからな。


だけど、あいつにはわかってないこともある。



俺が一緒にいたいのは直だけだってこと。



何度も

あの廊下で直を待った。



来るはずのない直を、待ちながら泣きそうになった。



直の愛の詰まったマフラーを枕元に置いて眠った。



だけど、なかなか安心して眠れないんだ。




神様のいたずらで

直の担任になっちまった。




焦ったけど、


あいつの笑顔を毎日見ることができると思うと、やっぱり嬉しかった。



遠足のバスの中で、前の席に座る直の笑い声を聞きながら眠った。



久しぶりに安らぎを感じ、熟睡できたんだ。


直がそばにいるだけで

こんなにも俺は、安らげる。


穏やかな気持ちになれる。


例え、もう直に愛されていなくても・・・