「おい!!和人、酒持って来い!」

どこが進路相談・・・???


お父さんに酒を勧められて、すっかり出来上がっちゃった先生は今夜・・

家に泊まることになった。


明日は、午後から部活だって言ってたけど大丈夫かな。


真っ赤になる先生とお父さんを見てると平和だなぁ・・ってしみじみ思う。


「姉ちゃん、まだですかぁ??」

先生は、お父さんの肩を揉みながら聞く。


仕事を始めてから、毎晩帰りが11時過ぎ。

週に2回の休み以外は、朝から晩まで働いていた。


あまりの変化にお姉ちゃんの体を心配したけど

充実してるせいか

とても元気だ。


「ただいまぁ~!!あ!!!直を泣かせたバカ教師!!」


帰ってきたお姉ちゃんは、先生を睨みつける。


「今度泣かせたら、マジ・・・キレるよ?」

お姉ちゃんの恐ろしさはみんなが知っていたから、先生も息を飲む。


「絶対泣かさない。大事にします・・お姉さまぁ~!!」


私がお風呂に入ってる間に、お姉ちゃんもお酒を飲んで3人でなにやら語ってる。


「あのね・・・担当のおばあちゃんが言うのよ・・明日も来てねって・・・その言葉聞くだけで疲れも吹っ飛ぶんだよねぇ・・」


「姉ちゃん、偉いなぁ。俺がいない間に別人になってるじゃんかぁ・・」

「奈美も、ようやく大人になってくれた。父さん、嬉しいぞ・・・」



私は洗い物をしてるお母さんのそばに行き、目を合わせて笑った。


「直・・早くこんな毎日が来ればいいね。」

「お母さん・・・ありがと。いつも応援してくれてありがと。」

「進路なんてゆっくり考えなさい。遠回りしても、道を踏み外しても、直の生きたいように生きてくれたらお母さんそれでいいから・・」

お母さんは、携帯で撮ったお年寄りとの写真を一生懸命見せてるお姉ちゃんを見て、大きく息を吐いた。


「随分、遠回りして、寄り道したけど・・・奈美もちゃんと自分の道見つけられたでしょ・・」


私は残りの洗い物をお母さんと2人で洗った。