「晩飯とか、食ってから行く?」

先生は、何気に物凄いことを言う。



えぇ・・・????

晩御飯なんて一緒に食べていいの??


「いいの??」

驚きを隠せない私に、不思議そうな顔をする先生。

「矢沢は、腹減らない?」

「減った!!!!減った!・・でも、いいのかな?先生と食べても・・」


「あぁ・・そういうコトか・・忘れてた。お前生徒だっけ?はははは・・」


先生の何気ないセリフは、私の胸のドキドキをMAXにさせる。

生徒だってこと忘れてた・・・だって。


今日一日で、どれだけ素敵な言葉いっぱいもらっただろう・・

今までの先生との1年半の100倍くらい、話した気がする。


「これなら、大丈夫だろ・・くくくくく・・・」


突然先生は笑い出して、私のTシャツの裾をつまんだ。

「ひどい!!先生、そんなに笑うなんて!!」

「いやぁ、いつ言おうかと思ってたんだよ。田舎のおばあちゃんみたいで・・」

先生はお腹を抱えて笑い出す。

笑うと目が細くなるんだ、先生。

「・・おばあちゃん??ひどいよ・・自分でもおかしいと思ってたけどさ・・」

「ごめんごめん・・かわいいって!」


私の心臓は、また忙しく動き出す。


だめだよ、先生。

女の子にとって、好きな人から言われる『かわいい』はどれだけ嬉しいかわかる?


かわいい・・・だって。

かわいいなんて言ってくれた。


その『かわいい』が、犬がかわいいとか鳥がかわいいとかそういう『かわいい』だとしても私はすっごく嬉しい。

「制服に着替えんなよ!そのまま夜景見に行くぞ。」

そう言って、先生は私の頭に触れた。

「・・・はい!!」

私は、飼い主の言うことなら何でも聞く従順な犬のように、先生の言いなり。