魔導師ザードが、

今は海中から顕になった
海神ワーフ・エリベス像の
ポイントから戻ってくるのに
さほどの時間は
かからなかった。

『ガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーン ..


再び海中都市の遺構から
所々飛ぶ姿を見せた、ザードに
ギルドの長ラジは、

「どうでしたか!ヤオ魔法師に
会えましたか?ザード様。」

刀傷の跡ある、片眉を
ニヤっと跳ね上げて聞く。

もう、他の魔導師は配置に
散ったか姿は無く、
ラジも広場のワーフ・エリベス像
にスタンバっていた。

「ありがとう。お陰さまで。」

戻ってきたザードの表情は
よりラジからは、読めづらく
なっていたが、

「言いたいことは、言えた。」

素っ気ないザードの返事に、
どうやらとラジは含んだ。

「ふん!そーゆー事ですか。
まあ、お若い事ですな!
よけりゃ、いつでも飲みに
付き合いますぜ。ザード様!」

ザードとヤオの
いろいろな保留事を、伊達に
ギルドを統べてないラジには
お見通しらしい。

「どっちにしろ、まずは最初の
大仕事をしてからですぜ。
ザード様は一旦城にもどりなさる
んでしょ?どうせ、海ん中の像は
ヤオ魔法師に ほっぽり出して」

ええ?お坊ちゃんよ?

と言いたげに、ラジは
優にザードの3倍はありそうな
日焼けの腕を組んだ。

そんなラジに驚きながら、
ザードは ヤオの今後には、この
獅子の鬣を持つ男闘呼からの
信用が必要になりそうだと、
密かにため息をついた。

『ガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーン ..

!!!!!

鐘、 鐘、 鐘 ふと
ザードと、ラジの魔法が
同時に、感知した!!

『ガタガタガタガタガタガタタ』

『ギュウー!』

海辺の大地に一際大きな揺れが
走ると、ギルドに繋ぐ
翼龍が一瞬唸る。

「わっ!!また大きく揺れ、
ましたね?!ザード殿、、?」

外で待機をしていた、龍隊員が
驚きながら、ザードを見て
その異変に気が付いた。

ザードの虹色に変化した眼、
隣のラジの燃蒼眼、2つの眼が
遥か海の向こうを
遠視の力で指す。

「あれは、津波?なのか?」

ザードが、ラジに問うが
龍隊員の目には何もみえず、
乾上がり進む海中都市があるだけ

「、、、デカイ、デカ過ぎる、
津波ってより、水の壁だろ、、」

ラジが普段の言葉使いになるのも
忘れて、海を見据え

「いや、、、見たな。どこかで
カフカスじゃねぇ、、、。」

遠視からの光景に固まるザードの
横で、ラジが思考から出したのは

「ザード様!ありゃ、間違いねぇ
『次元津波』だ!!って、なら
う、うォィ、上だ上、空見ろ!
ザードさんよ!!降ってくんぞ」

その言葉で、

ラジは指を舞わし即座に
ギルドの全通信回線魔法を
MAXに開いた!!

「藩島全域ギルドに
エマージェンシー!!最大災害
発生!遠視できる者は空を見ろ!
『次元津波』来襲!空から
異世界の一部が降ってくるぞ!
島民を守護シェルターに避難!」

不味いぞ!と唸って ラジの回線に
ギルド建物から出てくる人員へと
直ぐ様指示を出し始めた。

『ガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーン ..

「ギルド長!『次元津波』って
なにだ!!あの空のは?!」

遠視で空を視たザードが、
守護シェルター解放の通信をする
ラジを邪魔しながら その腕を
掴んだ。

『ガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラ ..

「ああ!もう!クソガキ!暇ねぇ
んだ!枢機卿にでも聞け!!
とにかく、民を避難させんと!
クソガキ!お前もすぐに
ワーフ・エリベスに結界固定の
魔力第一注入をさっさと合図だ!
空からあんなもん降ってきたら、
先に結界がヤられるだろうが!」

とにかく配置出来てるなら、
すぐに合図しろ!!と
ラジが息巻く。

『ガラーーーンガラーーーンガラ
ーーーンガラーーーンガラー
「だから?!あれは?!」

鬣を振り乱すラジに、まだザード
が首を締め上げる!
ガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーン ..』
「ぐええええ、おえ!何しやがる
お前クソガキ!異世界の一部が
次元線を越えて降ってくんだよ。
別ん国で遭った事があんだ!
あんなもん、土地が磁場滝に
打たれる!俺でもかなりキツイ」

異世界と土地が粒になって、
降ってくんだ!銃で撃たれまくる
みてーに、心がキツイぞ!

と、もういいから合図しろと
ザードに渇破を飛ばした。

「土地って、土地だけか?!
人は!人はいないか?!ラジ!」

それでもまだザードがラジに
食い下がる。

「知るか!そんなもん!上の奴ら
だって、災害に巻き込まれたんだ
そりゃいるだろうよ!そーゆんも
生き残りゃ聖女とか、聖人とか
ゆーんだろう!あんたらは!」

『バキッ』
いい加減にしろ!とラジが
ザードの腹筋を いきなり殴った。

「うぐ、、かっ、ハッ、、
ダメだ、いてぇ、長ひどいな。
なぜ、こんな時にだ。、、
今、結界に第一魔力注入は、
出来ない。ダメだ、、弔い鐘は
穢れ祓いの鐘なんだ、、」


『ガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーン ..


「この島の結界は、穢れを嫌う!
今、藩島に人の血が流れれば、。
血の雨なんか降ったら、

魔力注入なんか 意味ない!!」
『ガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーンガラーーーン ..


「ラジ!!藩島通信回線を
今一度、最大にして緊急告知!
力ある者は、聞け!!
空から降ってくる、異世界人を
全員漏れなく!受け止めろ!!」

ラジが、
真面かよ?!!!
と、

驚愕する内容を、ザードは
藩島全域に走らせた。