ケータイ小説 野いちご

新着メッセージがあります。

<1>始まる連鎖
-5月31日(月)-




『私立英開高校に通う後藤麻奈さんが自殺を図り、昨日死亡が確認されました』


思わず手が止まる。


手に持っていたマグカップをテーブルに置き、女性キャスターが淡々と原稿を読み上げる声に耳を傾けた。


母親の趣味である、人気のキャラクターが描かれている子供じみたマグカップから、その画には似合わないブラックコーヒーの湯気がゆらゆらと揺れる。


ただでさえ体が重く食欲の湧かない朝に、連日こんなニュースばかり流れている。


中高生の自殺は珍しいことじゃない。


けれど、いつもは右から左へ流れていくニュースも、今日ばかりは目を離せなかった。


「英開高校って……」


朝から家事で忙しく普段はニュースを聞き流しているであろう母親も、高校名に反応したのか、エプロンで手を拭きながら俺の隣に座り眉をひそめた。


ひとり優雅に座っていたソファーが狭くなったのは少し残念だが、それよりもテレビが気になるので文句は飲み込んでおく。


「恭平。あんたと同じ高校の生徒じゃない」


そう。私立英開高校は、俺が通っている高校だ。




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