ケータイ小説 野いちご

新着メッセージがあります。

プロローグ




ポケットに入っているスマホが音を立てて震えた。


足を止めてポケットからスマホを取り出す。


《新着メッセージがあります》


ポップアップを見て首をかしげた。


メッセージを受信したら、名前とメッセージの内容がポップアップに表示されるよう設定しているはず。


いつの間に設定を変えたのだろう。


記憶にはないものの、さほど気に留めず、いつも通り人差し指で《表示》をタップした。


《誰もいない

誰も私を見てくれない

独りは寂しい

辛い

誰か 助けて

私を見て》


「……何、これ」


気味が悪い。


メッセージを開くと画面の上部に送り主の名前が表示されるが、そこにはアルファベットが一文字あるだけだった。


不気味ではあるが、珍しいことではない。


『検索してはいけないIDがある』だのなんだの、そういう噂はいくらでもある。


このメッセージも、よくあるオカルト話の一種だろう。


「さつき、早くー!」


「あ、うん!ちょっと待ってよー!」


今日は大好きなアーティストのアルバムの発売日だった。


しっかり予約しているので売り切れる心配はないが、今日という日が楽しみで仕方なかったのだ。


同じく逸る気持ちを抑えきれない様子の佳澄に急かされ、スマホの画面を閉じてポケットにしまうと、再び足を速めた。











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