翌朝、目が覚めると昨夜の火照りが残っているのか身体が熱い気がした。

「なんだか、ぼんやりする。
 そろそろ月の物が近かったっけ?」
スマホに手を伸ばし、電源を入れたらカレンダーのアプリを起動する。
「う~ん。まだ…だよね?」

トントンとノックの音がしたのでドアの方を見ると玲くんが呼びに来てくれた。
「真琴?起きたか?
 今日は休日だろ?って、おい?」
玲くんの表情がコロコロ変わり笑いそうになったけど、あまりに心配そうに私を見るので笑えなくなった。

「ひゃぁ。冷たい。」
おでこに玲くんの右手が当てられお熱がないか確認された。
「真琴?
 熱があるのに気が付かなかった?」

「え!!」

「今、体温計持ってくるから。
 そのままベッドで寝てて。
 動けそうなら土曜日の午前なら病院やってるから行こう。」

そう言われると身体がふらふらする気がした。
判断が鈍っているのは熱のせいなのかも知れない。
玲くんに言われたとおりにベッドに戻りスマホで漫画のアプリを起動する。
まさかの、知恵熱?

律儀な玲くんはドアを開ける前にノックをいつもしてくれていた様で、今のように焦っていてもノックをしてから寝室に入って来てくれた。
「真琴?ほら。こっち向いて。
 直ぐに測れるやつだから、おでこだして。」
前髪をアップにさせられ、デジタル化された今時の体温計で測られた。
「38.4℃。立派な風邪だな。
 食べられそうならお粥を用意するけど…」

「うん。今のところ食欲はありそう。
 食べて少し休んだら治ると思う…。」

「食べて少し休んだら治るから病院には行かないと?」

ヒィぃぃ!?
全てお見通しと言わんばかりに不機嫌な表情と言葉で遮られた。
一瞬で敗北に終わり肩を落とす。

「…行くよ。。。」