真琴が大学生の時に彼氏が出来たと彼女のお義母さんから連絡を貰った。
正直、その時にやっていた研究どころの騒ぎではなくなり早々に帰宅をし、実家へ向かったのを目をつむると今でも鮮明に思い出す。

『もしもし、玲くん?
 大変なの。
 真琴からね、彼氏が出来たって報告受けちゃって。』

最悪だな。の一言。
助手に残りのデータやレポート、何か発見があったら証拠の採取を任せて研究室をあとにした。

真琴の友人とも連絡を取っていたので同じ大学の友人に連絡を入れ、誰なのか特定した。

『水谷 真琴と付き合ってるっていう噂を聞いたのだが…相手は君で合ってるかな?』

普段なら着ないブランドのスーツを着て、真琴の彼氏と思われる男子学生の前に行き、問い詰める。

『えっええっと…
 みっ水谷さん…は知ってますが…
 ぼくじゃ、では…ない…かと…』

『そう。なら君のご友人と間違えたかな?
 それは申し訳ない。
 真琴と僕は婚約しているのに、まだ幼い彼女はそういった類いには疎いから間違いを起こすのではと彼女のお義母様から連絡を頂いてね。
 真琴の彼という人に会いたいのだけど、君、連絡は取れますか?』

『えっええっと…はあ。
 ゆっ友人からは…み、水谷さんとは…お付き合いは…して、いないと…きいてますけど……』

『お付き合いはしていなかったのか。
 早とちりして、すまなかった。
 そのご友人にもこれからも友人として宜しくお願いします。と伝えておいてくれ。』

誠実に大人の対応をして、この男に最大級の牽制をする。


お義母さんからは無事に済んだと連絡を貰った時は、心底安堵した。