ふわふわの布団に頬擦りをし、あれ?と思い目を覚ます。
「れいく~ん?」

帰り道の車内で快適の揺れに眠気に負け寝てしまい、ここまで玲くんが運んでくれたみたいだ。

トントンとノックの音がしたので起き上がり「は~い」と返事をする。

「真琴。起きたか。
 気持ち良さそうに寝てたから起こさなかった。
 気分はどう?」
額に手を当てて熱がないか確認してくれる。
"子どもじゃないのに"と思い、玲くんの優しさに反抗しようとムスッとする。

「うん。良く寝たよ。」

ベッドから降りてスリッパを探そうとしたが、ムスッとしたのに気が付いたのかスリッパを取り上げられた。

「真琴?言いたいことはちゃんと口にしないと伝わらない。」

「…だって…玲くんが子ども扱いするからだよ!」

"宥める父親みたいだよ"と付け加えようか悩んだが、それはやめた。

「してないだろ?
 それは以前も言ってあるのに忘れた?
 まさか、今日の出来事全部忘れたなんて言わせないぞ?」

「お、覚えてるよ!!
 なんでいつもこうなっちゃうかなあ~」

毎回のように形勢逆転するのは何故なの?

「真琴がそんなに子ども扱いするなって言い張るなら真琴にもっと頑張って貰わないとな。
 まずは、真琴!
 ここにキスして。大人なら簡単に出来るだろ?」

「え!?」

"ここ"と指定してきたのは、唇だった。
一度目は頬だった。
二度目の今日は…
私たちの関係を進める為にも、私が大人だと玲くんに教えるためにも……ちゅ。とした。