いつも隣にいるあいつ、日葵。

俺たちはいつだって一緒いる。いつしか隣にいることが当たり前になっていた。そんな毎日が楽しくて仕方がなかった。大事だった。

俺は1人っ子で遊ぶ相手もいなくて寂しかったけどある時変わった。隣に女の子が引っ越してきてその子と遊ぶようになった。それが日葵だった。
親同士も仲良くなって毎週末家族で遊ぶことが増えた。楽しかった。

そんなあいつは気づいていない。俺のこの感情を。『好き』という気持ちを。この感情を抱いたのは最近なんかじゃない。いつからかわからない。もしかしたら出会ったときかもしれない。でもそんなのはいい。あいつは俺のことを幼なじみとしか思っていない。

毎日毎日いろんなやつから下駄箱に手紙みたいなのを置いていかれるけど実際中身を見たのは最初の数回だけ。途中からどうでもよくなった。俺が欲しいのはやつらからの手紙なんかじゃない。
日葵からの愛情。日葵から直接くれる『好き』が欲しい。どんな物よりも。俺が興味あるのはテニスと日葵だけ。テニスと同じように日葵も大事。
こんな風に思うのは日葵だけ。この先ずっと。

でもこの気持ちを本人に言うことができない俺は弱い。言いたい、でも言えない。振られると思うと言えない俺。なんて弱いんだ。

日葵が好きな人がいるかは聞いたことがない。聞けない。いると言われたときに俺じゃないと嫌だから。俺以外のやつに渡してたまるか。あいつは可愛い。

でも当の本人は気づいていない。ちっこくて、ふんわりしていて、でも本当は責任感が強くて頼りになる。そのことは俺が一番知っている。誰にも知られたくない。日葵の一面を。

俺の周りにも日葵のことを狙っているやつらがいるのは知っている。その度にバリアを張っている。どこかで思っている。

「幼なじみなんかの勝てるわけないだろ」

それでも日葵が思う相手も日葵を思っていると考えると腹が立つ。俺たちの今までが崩壊しそうで怖い。

いつか言おう。

そう決めてからどれだけの時間がたったのだろう。