「おい!ひーまーり!待てよ」

後ろからそんな声が聞こえても無視をする私、藤井日葵を追いかけてくるのはやつ、私の幼なじみである前島瑛多。

クラスの子たちはよく国宝級イケメンって言ってるけど私にはわからない。すぐに嫌味をいい、バカにしてくる嫌なやつだ。そのうえに成績が良いからなおさら嫌なやつだ。そんなやつとは幼稚園からの幼なじみで親同士も仲がいい。だからこそお互いの弱点も知ってるし、黒歴史だって知ってる。

家も近いからよく一緒に登校する。家族か!ってほど一緒にいるから飽き飽きしているけどもう慣れた。

「あんたが遅いんでしょ!」

のんびり歩く瑛多に文句を言う私。

「部活の次の日で疲れた俺様に言うか?」

俺様系な瑛多はぶつぶつ言いながら歩いている。
瑛多はテニス部のエースでよく入賞していてみんなにも期待されている。毎日練習をしているのを私はよく知っている。疲れ果てて帰ってるのも知っている。

「はいはい。ごめんなさい。」

これが私たち。私が文句を言い瑛多が反論する。そして私が謝る。こうしてきたからケンカはあまりしない。

「感情がこもってない!部活をしてないお前と一緒にするなよ!」

私は部活をしていない。しようとしたけどしたいものがなくて入らなかった。

そんなこんなで私たちは学校へ行く。幼なじみの上に家も近所、これだけでも十分なのにクラスまで同じ。なんと小学校から。もう飽きた。お互いにクラス替えのときにそんな話をすることが10回はあった。もういい。変えてほしい。

やつだけは、やつなんか。