時は流れ。

 私は高校三年生に。


 今は四月の中旬。

 新しいクラスや担任の先生にも慣れ、落ち着いてきた。



 担任の先生といえば。
 今年度は隼理くんではない。

 隼理くんは、そのことが寂しいと言っていた。

 でも私は。
 正直なところ、隼理くんが担任の先生ではなくてよかったと思っている。

 隼理くんが担任の先生だと。
 恥ずかしいし。
 ドキドキするから。

 そんな気持ちが付きまとうと。
 ある意味、楽しく学校生活を送ることができない。

 ちなみに。
 隼理くんは教科担任でもない。

 なので学校内では隼理くんと関わる機会はないに等しい。



「夕鶴、俺と全く関わらなくなった学校生活はどうだ?」


 土曜日。

 今日も朝から隼理くんの部屋にいる。


「隼理くん……なんか質問おかしくない?」


 隼理くんの質問に、つい苦笑いをしてしまう。


「どこがおかしいんだよ。普通の質問じゃないか」


 少しふてくされている隼理くん。


「どう……って、別に普通だよ」


 本当は気楽……そんなこと、隼理くんには言えない。

 良いとか悪いとか、そういうことではなく。
 恥ずかしさとドキドキがない分、気持ちは楽……かなと思っているだけで……。


「普通……ね……」


 私の返答に引っかかるのか。
 隼理くんの反応がスッキリしない感じだった。