…そうだ。かわいくなろう。

って思ってかわいくなれるなら苦労はしないし、こんなに悩む必要はない。

まりやと一緒に学校を出たあと、ひとりでドラッグストアに真っ直ぐ向かい、化粧品コーナーで立ち止まること何分…だろう。

ズラリと並ぶリップグロスと睨めっこをしている。


まりやおすすめのシリーズを見つけたけど、色が何種類もあって悩んでしまう。

確かこれは、前に未緒も使っているのを見た覚えがある。

可愛い子の可愛いには理由があるんだなあ…って頷きながら、物色する。

今まではリップクリームしかつけてなかったけど、明日からはグロスもつけてみよう。

だって、まりやも未緒も唇が艶やかで大人っぽいから、私も憧れちゃう…。

…とにかく可愛くなりたい。


…そしたら、少しは自信が持てるはず。

今はまだ遥斗くんに告白する勇気はないけど、自信が持てたら変わるかもしれない。

だから、今日からメイクを勉強しようと決心する。


色々と見て悩みに悩み抜いた結果、一番好きだと思ったコーラルピンクのグロスを選んだ。

これなら派手すぎず、ちょうどいい感じになるだろうと想像を膨らませる。

そしたらちょっとワクワクしてきて、明日が楽しみになった。