「遥斗くんだ」「やっぱりかっこいいよね」


5時間目。体育の授業中。

女の子たちがヒソヒソと話す声が耳に入る。

わかる、わかります、その気持ち。


体育館の壁にもたれかかって夏生くんと話す遥斗くんを見る。

半袖半ズボン。ダサいはずのジャージも遥斗くんが着ればかっこいい。


「おい、衣織」

「…」

「ッチ、ちょっとこっち来い」


ぐいっと誰かに腕を掴まれてハッとする。


「へっ?あっ、ちょっと…。なに、隼人(はやと)?」

「…」


無視。
高校生になってもこういう所は健在らしい。

おまけに隼人がD組だったことを今知った。

いつも体育はD組と行われる。だけど、男女別だから知らなかった。


ズルズルと引っ張られながらも、目は遥斗くんを追う。

彼は夏生くんと笑い合っていて、微笑ましい。


あっ!こうしているうちに未緒を含めた女子バレーが始まる。

応援したい。のに、コートからどんどん離れて体育館の外に連れ出された。