「なに、これ」


目の前に掲示されている校内新聞を指さして、私は問う。
隣でにこにこと上機嫌な笑みを浮かべる彼女はといえば、得意げに言い放った。


「何って、私の渾身の一作よぅ。みんながいま一番知りたいことだろうし?」


悪びれなく自身の眼鏡を押し上げるチョコに、呆れて物が言えない。

先週から休み時間の度に私の元へせっせと通っていた彼女が書いた記事の内容。それは、鈴木先輩の「恋人」についてだった。


『鈴木一太に新・恋人!? 新入生参戦で校内一のイケメンを巡り三角関係か』


そんな見出しで飾られた記事には、大きな写真が掲載されている。
週刊誌の熱愛報道よろしく、ツーショットのそれ。鈴木先輩と私のツーショットがでかでかと掲げられているせいで、批判殺到である。いや、それはこの際二の次。何が問題かというと――


「タカナシくんこそ一太くんの隣に相応しいのよ! DKの隣はDK、それでいいじゃない!」

「そうよ、女はいらないのよォ!」