「はい、誕生日おめでとー」


翌日の教室で、章くんが机の上にドサっと袋を置いた。

ハッピーバースデーのシールと、真っ赤なリボンがついてる袋。


「……」

「いらねぇの?」

「え、いいの?」

「毎年あげてんだろ。なに今更謙虚ぶってんの」


章くんとは毎年ずっと、誕生日プレゼントの交換をしている。

それは中学2年生の誕生日から始まって、

そんなに大層なものをあげるわけじゃないけど、毎年欠かさずプレゼントをくれる章くんに、私もお返しをしている感じだ。


「マフラー…!」


リボンを解いて袋を開けたら、赤いタータンチェックのマフラーが出てきた。


「美香、タータンチェック好きじゃん」

「うん、大好き!」


今まではプレゼントって言っても、お菓子とか雑貨類だったから。

身につける物を貰ったのは、初めてだ。


「可愛い、ありがとう」

「つけてみてよ」

「今?」

「うん、全然似合わなかったら困るじゃん」

「失礼な、似合うし」


むっとしながらマフラーを首に巻きつける。