〈美香side〉




土曜、日曜って寝て過ごして、あっという間の月曜日。

秋の涼しげな高い青空とは打って変わって、私の心は曇り空……


憂鬱は、放課後が近づくにつれ重くなっていく。



「風邪、治ったの?」


章くんに声をかけられたのは、教室……じゃなくて。

生徒たちで賑わう、お昼の学食内。

なに食べようかなってメニューを選ぶこの場所で、後ろから章くんが顔を出した。


「うん、治った。冷えピタ、ありがとね」

「保健室のだけどね」

「うん、でもありがとう」


章くんの気持ちを知っているのに、ひどいかな。

こんな場所で、違う人を想ってドキドキするの、ひどいかな。


でもね、どうしても考えちゃうんだよ。

いるんじゃないかって、会えるんじゃないかって。

もしも会ったら私、どんな顔で、どんな風に話せばいい?って。


そればっかりを考えちゃうんだよ……



どうしよう、ほんとにドキドキする……。


メニューに釘付けな視線だけど、本当は、そんなのさっきから1つも見えてない。

体全部がドキドキして、震えそう。

会いたくて、会いたくない先輩に、偶然会えるかもしれないこの場所で、震えそう。