戸が開く音がしたが、目の前に二人が立ったせいで誰がいるか全く見えない。

見えないようにしてるんだろうけど。


いなくなったところで、二人がはけた。
怒ってるパパがいる。

塩撒けと叫んでた。


あの顔は…最高に怒ってる時の顔だ。



「パパ?」

「お…っと。花か、お帰り」



いつもの勢いがない。

私に気付いたから、ちょっと抑えたみたいだけど。



「親父、何があった」



湊が言った。



「チッ…、どうもこうもあるか。

俺の花とあのマフィアの息子を結婚させろとしつこく騒がれたんだよ。


何が規模を今以上に大きくしたほうがいい、だ?


全国トップはこの五十嵐組だぞ?
それどころか、あいつ等勝手に話進めやがって。

勝手に縁談持ちかけられたのも気に食わねぇが、あの馬鹿にする態度も舐め腐ってやがる」