えっ……。

 何だろう?

 リドの家に着いた愛来は違和感を感じていた。いつもなら元気に出迎えてくれるリドの姿がない。

 家のドアをノックしても誰も返事をしない。

 どうしたのかしら?

 そっとドアを開けると中からすすり泣く声が聞こえてくる。

 ロドスさん……?

 ロドスさんのベッドの横にうずくまる様に座っているリドとルノアさん。

 ベッドの上には血の気の無い青い顔をしたロドスさん。





 そんな……。





 こんなに早く、その時が来るなんて……。

 昨日もあんなに楽しく話をして、調子も良さそうだったのに。

 どうして?

 立ち尽くす愛来に気づいたリドが険しい顔で駆け寄ってきた。


「うそつき!!おじいちゃんを治してくれるって言ったよね。あれは嘘だったのかよ。うそつき!!うそつき!!うそつき!!」

 愛来の太股を小さな少年が力いっぱい叩いた。





 私は嘘つきだ。






 私は何もできない。






 私は無能だ。