箱崎桃(はこざき もも)の朝は、うっかり飲んじゃった一杯の冷えた昨日のお茶からはじまる。

 ……やばい。
 なんか喉乾いてたから、無意識のうちに飲んじゃった……。

 桃はベッドサイドに置いていた白い陶器のカップを手にフリーズしていた。

 すると、運悪く、そのタイミングで、両手に白湯(さゆ)を持った貢が現れる。

 貢は桃の手にあるカップを見て、沈黙した。

 そのまま引き返すと、……ぱたん、と扉を閉めてしまう。

「あっ、ご、ごめんなさいっ。
 飲みますっ、飲みますっ」
と桃は慌てて貢を追いかけた。