王都に魔獣の群れが押し寄せてきている。

 知らせを受け、アリギュラはとりあえずジークに従い、その後を追いかけている。先程まで静かだった宗教寺院の中はいまや大混乱だ。聖職者たちはもちろん、街から避難してきた人々でごった返している。

 人々の合間を縫いながら、アリギュラはすぐ後ろを歩くメリフェトスにこそりと問いかけた。

「説明しろ! 一体何が起きている?」

「どうやら『まほキス』のストーリーが進行したようです」

 さりげなくアリギュラを人間どもの波から守りながら、メリフェトスはふむと頷いた。

「ここエルノア王国は現在、危機的状況にあるのです。その状況を打開するため、連中は聖女を召喚したわけでありまして」

「だーもう、勿体ぶらずに話せ! なんじゃ、危機的状況とは!?」

「封印されし魔王が復活したのです」