『おとゅめげえむ』の世界。

 大真面目な顔で、メリフェトスが告げた聞きなれない言葉。――意味がまったくわからない。なんならその前段にあった、物語だとかヒロインだとか世界の中心だとか、何ひとつ頭に入ってこない。

 メリフェトスは相変わらず、美しい顔に苦渋の色を乗せて、重々しく息を詰めている。そんな彼に、アリギュラは敢えて問い返した。

「おぬしがわらわをからかっているのではないのはわかる。わかるが、敢えて聞こう。なんて????」

「『おとゅめげえむ』です、我が君」

「その『おとゅめげえむ』が、まったくわからないのだが????」

 真顔で答えるメリフェトスに、アリギュラは戸惑い首を傾げる。するとメリフェトスは、大いに頷き眉を八の字にした。