ケータイ小説 野いちご

Far away ~いつまでも、君を・・・~


「で、脈はありそうなのかよ。」


入部翌日、登校した尚輝に、クラスメイトの西川秀(にしかわしゅう)が声を掛けて来た。


「そんなのまだわかんねぇよ。」


からかい気味の秀の言葉に、尚輝はややぶっきらぼうに答える。


「それにしても、入学してひと月も経たないうちに、いきなり2年生の教室に乗り込んで、コクって玉砕したと思ったら、全くめげないで、すぐに興味の欠片もない部活に、その先輩に近づきたい一心で飛び込み入部するとはな。大した行動力だな。」


と言った秀の口調は感心してるというよりは、呆れがこもっていた。


「『中学の部活は、内申点上げる為に、嫌々やってただけ。高校に入ったら部活なんかに時間取られないで、思いっきり遊びまわる』って言って、部活のオリエンテ-ションの間、ずっと寝てた奴とは、とても思えねぇよ。」


「居ても立ってもいられねぇんだよ。」


「えっ?」


「とにかく、寝ても覚めても、あの人のことが頭に浮かんで来て、胸が苦しくなるんだ。この自分を気持ちを、先輩に伝えられずにはいられない。先輩に好きな奴がいようと、彼氏がいようと、そんなの関係ない。とにかく俺のハートは一瞬で、先輩に撃ち抜かれたんだ。もうこの気持ちは抑えられねぇ。」


周囲の視線も気にせず、そう熱く語る尚輝。


「なるほどねぇ・・・。でもさ、俺も遠目で廣瀬さんのこと見て、確かに可愛いし、美人だとは思ったけど、パッと見ただけで、そんなに夢中になれるもんか?一目惚れって、俺にはどうにもよくわからない。それに噂だけど、廣瀬さんって、見た目によらず、結構男っぽいらしいぜ。お前、清楚系、おしとやか系がタイプって、確か言ってなかったか?」


そんな尚輝の熱量に、やや押され気味の秀は、水を差すように言うが


「タイプなんて・・・その時、好きになった人がタイプなんだよ。」


と言い返す尚輝。そんな尚輝の顔を、秀は少し見ていたが


「わかったわかった。俺もお前に講釈垂れられるほど、恋愛に詳しいわけじゃねぇから。ただ、あんまりグイグイ行き過ぎても、かえって引かれるだけじゃねぇかなと思ってさ。まぁ応援してるから、とりあえず頑張れよ。」


と言うと、席に戻って行った。


(言われるまでもねぇ。必ず廣瀬先輩を振り向かせて見せる。)


その後ろ姿を見送りながら、尚輝は思っていた。

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