ケータイ小説 野いちご

Far away ~いつまでも、君を・・・~


それは、突然の出来事だった。


その日の授業を終え、友人と教室を出た廣瀬彩(ひろせあや)の前に、人影が立ちはだかった。はっとして見ると、1人の見知らぬ男子の姿が。何事だろうとやや固まった彩に


「廣瀬先輩!」


少年が大きな声で呼び掛けて来た。


「は、はい。」


その声に、ややたじろぎながら、彩が返事をすると


「先輩のことが好きになりました。僕と付き合って下さい!」


やはり元気のいい声で、そう言った少年は、深々と頭を下げた。


一瞬訪れる静寂。彩はもちろん、周囲にいた面々も、この降って湧いたような告白劇を、唖然とした表情で見つめている。


周囲の注目の中、やがて頭を上げ、真っすぐに彩を見る少年。そして、周囲の視線は当然、今度は彩に集まる。


「ごめん。私、君のこと、名前も何も知らないし・・・だから突然そんなこと言われても、ちょっと無理。」


彩の口から出た返事は、至極真っ当なものだった。ある意味、当然の成り行きに、周囲の視線はまた少年に。彩の返事を聞き、一瞬表情をゆがめた少年は


「わかりました、失礼しました!」


すぐにまた頭を下げると、踵を返し、足早に去って行った。


「なんなの?あれ・・・。」


隣にいた香田遥(こうだはるか)が、そうポツンとつぶやいたのに


「さぁ・・・?」


あまりに突然の出来事に、彩はそう返すのがやっとだった。

< 2/ 290 >