「瑠奈、話があるんだけど」

いつもと同じ、碧斗と二人の帰り道。
突然改まって話し出す碧斗に、私は足を止めた。


「どうしたの?急に」

「…………俺と、付き合ってください」

「え…」


碧斗は、近所に住む、小さい時からずっと一緒の幼馴染。まるで家族みたいな存在。

だから、恋愛対象としてなんて見たことがなかった。


そして、そんな碧斗から告白されるなんて、夢にも思っていなかった。


「付き合う……の?」

恐る恐る尋ねる。緊張してるからなのか、碧斗はいつもとは別人みたいだ。


「いや、フリだけしてくれれば……」

「フリ?どういうこと?」

碧斗が深呼吸をする。


「俺と、付き合ってるフリをしてください」

碧斗は深々と頭を下げた。