鼻歌を歌いながら、生徒はただひとり屋上で靴を脱ぐ。

放課後、オレンジ色に染まる校舎。

心地よい南風が生徒の短い黒い髪をなびく。

その真っ黒な瞳はただただ夕暮れに染まる空を映していた。

結んでいた髪をほどき、フェンスに足をかける。

命という儚きものはいとも簡単に消えてしまう。

方法はなんでもいい。

とにかく誰でも消し去ってしまうことができるのだ。

「…さぁ、この世界とお別れの時間だ。」

そう告げた少女は、羽ばたく様に空へと飛び出した。


その下で、魔法陣が書かれていようとも知らずに。